Bubbles in a pool

よどみに浮かぶうたかた

心の深淵を覗いてみようか ヤマシタトモコ「ひばりの朝」

ひばりの朝 1 (Feelコミックス)

ひばりの朝 1 (Feelコミックス)

ヤマシタトモコの天才ぶりいかんなく発揮。オムニバスで登場人物たちの色んな視点からひとつのテーマを描く。ミラーボール・フラッシング・マジックも同じ描き方だったけれど、今回はよりダークな方向へ。

ひばりという女子高生を軸に、彼女を取り巻く人間をひとり一話で描いて進む。テーマは「決して人はわかり合えない」ということ(自分の解釈ね)なんだろうか。勘違いとすれ違いを重ねて自分勝手な思い込みで生活している登場人物たち。それはこれを読んでる読者も当然含まれていて、私なんかは過去がよみがえり、痛テテテと身につまされる。

だからと言って、現実ってそんなもんだよディスコミュニケーションだよ孤独だよと閉じてしまう必要はなく、そんなズレって面白いよね、ドラマ産まれるよねって感じでひょうひょうとして乾いた語り口が好きだ。

そんなわけでヤマシタトモコはずっと追いかけたい漫画家。いや彼女だけじゃない、吉田秋生にしろ、よしながふみにしろ、女性漫画家ってものすごいレベルにあると思う。今、世界にウケてる漫画やアニメって少年漫画系、オタク系、アクション中心のやつが多いけれど、女性漫画家が描くストーリーや心理描写って普遍的で面白いと思うんだけどなぁ。小津映画が世界で高い評価を得ているなら、同様にこういう漫画も受け入れられる素地はあるはず。まあ元々、紫式部の源氏物語をはじめとする女性による創造の伝統はあるわけで、実は日本文化って女性の手によるモノのほうが優れているじゃないのか、とさえ感じるわい。